FC2ブログ
0312345678910111213141516171819202122232425262728293005

『灰栗君は太れない』3 ~逃がす者~

『灰栗君は太れない』

灰色熊(グリズリー)の大学生、灰栗 アルト(はいぐりあると)。

彼は、太りたい、という少し変わった願望を持つようになっていた。

なっているのだが……


===

その日も、灰栗は牛丼屋で昼飯を食う時、

並盛ではなく大盛りを食べてみたり、意識的に太るよう努めていた。


が、駄目。

その程度では体重に変化は起きなかった。


そりゃあ、食ってすぐ太るようなら

今頃は世界中で肥満者が溢れかえってるだろうけど……


「みんな、どうやって太ってるんだ……?」

皮肉ではなく、彼にとっては問題だった。

3桁超えの友人たちは「そんな食ってないんだけどー」

とかいいながら、中学、高校に比べ10kgとか20kgとか増えている。

バスケ部を引退してから、毎年見事に膨れていった虎の知人もいた。


たまにアルバムとかを見返しては、その”変貌”ぶりに羨望を覚えてしまう。



種族的に、自分の方が太りやすいはずなのになぁ……。


「そういえば、商店街の福引って今日までだっけ」


とはいえ何かを貰えて、ティッシュか10円の駄菓子が関の山。



かつて3等は当たった事もあるのだが、ダイエット用の腹筋マシーンで何の皮肉かなと思ったほどだ。


「とりあえず行ってみるか……」


興味が無いから、特賞も1等の賞品も、覚えていない。

駄目元で、足を運ぶ。


最終日だけあって、福引の会場前にはそこそこの人だかりが見えた。

待ってる間暇だし……なんか、買ってくか。

灰栗は寄り道をし、カスタードクリームの大判焼きを購入する。

「あんこも良いけど、やっぱりクリームかな」

僅かなカロリーの追加だが、ないよりはマシだろう。




しかし、その”選択”が間違いだった。




「おめでとうございまぁああーーーーーーす!!!!!!」



ガラガラガラガラと盛大に鐘を鳴らし、ふくよかなゾウやウシの係員が大きな声を出す。


「すごいです、ついに、出ました!!特賞です!!」



「……マジか」


そんな言葉しか出なかった。

「特賞は、豪華クルーザーで巡る世界グルメツアー!!
いや~~羨ましいですね~~」

「半年間、好きなだけ、思いっきり食べちゃってください!!」



これほど魅惑的な、都合の良い、特賞が当たるなんて……




灰栗の、ひとつ前の人物に。


「いやぁ、どうしよう、嬉しいなぁ」


ぽへ、っと穏やかな表情の、のんびりとした口調のオオトカゲが、


特賞を引き当てた。


当たる奴は、当たるんだなぁ……



流石に、自分にもワンチャンがあったと思うと、なかなか悲しい。


「……たこ焼きも、買って帰ろう」


小さな耳と尻尾をしょげさせ、灰栗は帰宅する。



その大分後に、世界旅行を終えたオオトカゲを灰栗は見る事になるが……

たっぷり付いた皮下脂肪に、大股になるほどでっぷりと垂れさがったお腹を見て、




その姿を自分に、照らし合わせる妄想をして、ちょっとドキドキしていたという。





続く







スポンサーサイト

コメントの投稿

secret

COMMENT

TRACKBACK


この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

げんろく

Author:げんろく
重量級のケモノ好き
マニアックな人推奨ブログ
気づいた拍手コメントは日記内で返事しています。

最新記事

最新コメント

カテゴリ

リンク

オンラインカウンター

現在の閲覧者数: