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『灰栗君は太れない』

灰色熊(グリズリー)の大学生、灰栗 アルト(はいぐりあると)にはとある悩みがあった。


===

===


今日は年に1度の健康診断の日。


「えー、それでは次の方どうぞ」


「はい」


医師に呼ばれ、カーテンで仕切られた空間へ足を入れる。

「えぇっと、灰栗アルト君………
ん?  で、あってるよね?」


ゾウの医師が、わずかに鼻と首を曲げて確認をする。


名前を呼び、種族を確認し、そしてこちらの姿を見て違和感を覚える。

小学校から続く いつもの反応に、何も感じない。


「はい、灰栗です。灰色熊の」


「うん、そうか。ええと、それじゃあまずは身長を測って、それから体重計だね。靴は脱いでね」


言われるまま、身長を測る。

188cm……そちらは、去年とほぼ変わらず。姿勢や背筋の状態で変わるレベルの誤差だろう。


そして体重の方は……

「72kg。 んー、少し痩せてるかな」

「そう、ですね」





―――灰栗君、最初見た時は狼かと思った。


よく言われる言葉だ。 灰色熊と言えば腕も、脚も、胴体も太く、 耳や尻尾に合わせるように顔つきも丸く

よく言えばふくよかで、


悪く言えばデブが多い。……というか太ってるのが当たり前、といった種族なのだ。


にも拘わらず肉がろくについてない自分はマズルもわずかに尖って見え、

胴には見事なくびれも形成されている。

ガリガリに痩せこけているわけではないが、灰色熊としてはどうなんだ?

といったところだ。



知り合いのトカゲやワニが去年より5kg太った、とか嘆いているのを聞くと

なんとも羨ましい気分だ。 と、同時に意識してしまう。



「(5kgも太ったんだ……)」



灰栗アルトは、太る事に対して肯定的だった。

否、好意的……

というか、言ってしまえばTV番組の肥満化事例なんかをしっかり見てしまうタイプだった。




母はもとより、父に至っても文句なしに丸い肥満熊なのだが

遺伝の引き継がれなさはなんなのだろう、と嘆くほど 灰栗には太る才能が無かった。



「72kgかぁ……60㎏台よりはマシなのかもしれないけど……」



午後の講義も終わり、ため息をつきながら帰路へ着く。


買い食いもよくするし、朝、昼、晩、しっかりとご飯も食べている。

夕食後にはよく杏仁豆腐やプリンなど、余分なカロリーも摂取しているのだが……

「身に付かないんだよな……」



見下ろしても、灰色熊として理想的な突き出たお腹はそこになく、

ズボンのベルトはどこまでも余裕があった。



「とりあえず、コンビニのプレミアムチキンでも買ってくかな」


まだ若くて代謝もあるから、太りにくいのだろう。

同年代の知人が1年で5kg太ったという話は頭の隅に置き、

灰栗はコンビニへ足を運ぶのだった。


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