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傲慢なリザ -ドン ~シロガネの心~

太膨注意(このブログの時点で注意も何もないけど
~シロガネの心~





試合会場に到着した彼……ガエン先輩を見た時、なんの冗談かと思った。


”あの体格”の酷さはいったいなんだろう。

ぶくぶく、ぶよぶよに肥えきって。

あれじゃ、試合になるわけがない。

周囲にサポーターが何匹いるんだ?


そもそも、前に勝っている相手。それが”弱体化して再戦”だなんて。

笑いものにしかならないな……

わざと苦戦すべきだろうか。 昔は強かったんだし、うん。最後ぐらいはちょっと華を持たせてやってもいいかな。

演出しよう。最初ぶつかって、ガエン先輩が押して来たらわざと土俵際までいって……

そこで自分が華麗に横へ回って、だけどすぐには押し出しせずに、時間をかけて。


「むしゃ、もしゃ、むぐ、ごくんっ」




シロガネは、脳内で試合をシュミレートしながら、手元にある菓子やミルクを繰り返し、繰り返し口に運んだ。

どれだけ太っても、大きな翼は”長さ”があるおかげで食べ物を掴んで口へ移動できる。


もし、他の種族なら自身の超肥満具合に気付けたかもしれないが……



仮に落として、物を拾えなくても、彼はエスパータイプを持っている。

念動力で無意識に拾い、楽をしてきた。

シロガネは こんな状態になってもなお 真の意味で自分が太り過ぎている自覚症状がなかった。


平均よりデブなのは認めるが、相撲チャンプに相応しい体格なのだと信じて疑わなかった。


……すでに彼は10倍ぐらい太って、異常な体重の数値を叩きだしているが。



「もぐ、むぐ、ぞれにじでも、今日は、ふぅ、やたら暑い日だなぁ、本当、まいっちゃうよ」


まとわりついた贅肉が。”あついしぼう”が、体温を上げている。


世話役の付きポケモンがタオルで汗を拭き、新しいフルーツオレを渡す。



神輿(みこし)で運ばれて、仰々しく登場……という演出にしているみたいだけど、

自力で歩けないというのがバレバレだ。

あーあー、彼を支えるポケモン達も大変そうだ。1匹で、普通の車両よりも重たいんだろうな、当然か。





シロガネは気づいていない。 自分が全く同じ境遇という事に。



『さぁ、待ちに待った瞬間が訪れようとしています。西側、そして東側をご覧ください。
かつての大相撲チャンピオンが、今、再び勝敗を決しようとしています!』


実況が会場を盛り上げていく。

だが、観客は声援をあげる者もいるが、困惑する者が多いのも事実だった。


「え~まじで、あいつらが一番強いの?」
「写メ取っておこ」
「もうただのデブ……っていうか、逆にどうすればあそこまで太れるワケ」
「ママーあのポケモン、お腹に赤ちゃんいるのー?」

子ガルーラが質問するのも無理はない。あんな体型、街中では見たことないのだから。


「わかっておらんなぁ~」

「お、なんだアバゴーラの爺さん、通な言い方して」

「よいか、ガエン殿もシロガネ殿も、多彩な技を用いて観客を魅せた名チャンプたちなのだぞ。
巨体を生かしつつ、相手の先を読み合い。土俵内という限られた空間で最前の手を打ち続ける」

「けどよジーサン……あれ、取っ組み合いすら無理じゃねぇの?」



事実、どれだけ両者が腕を、翼を伸ばしても

その膨れ切ったお腹が邪魔をして、相手を投げる事はおろか掴む事すら―――


彼らの場合、廻しも付けない為、単純にぶつかり合う、

それこそ児戯に等しい腹相撲にしかならないのでは



「むぅ……」


長年、ポケ相撲ファンであったアバゴーラですら言葉を濁すほど、 前代未聞の体格であった。


最重量ポケ力士と呼ばれる者達は、今までも確かに太っていた。


だが、度を越している。 おおきい、だけじゃない。横幅が……腹の大きさが、太鼓腹なんて生易しいものではない。





――――――



シロガネは勝利を確信した。

当時より更に太り過ぎたガエンは、自重すらろくに支えきれない。

一方の自分は、好物の大福やミルクをたっぷりいただいて、気力も十分。




両者の為だけに作られた、専用の大型土俵へ”運搬”される2匹。


「位置について…… はっけよーい、のこった!」


行司が合図をし、激しい衝突が起き―――


なかった。



なんだ? 何が起きた?

ねこだましで、不意をつかれたのか?

ガエンとの距離が縮まらない。脳内イメージトレーニングでは、今ぶつかり合って両者が拮抗して会場が沸き起こるタイミングなのに。

「ふぅう、ふぅっ、ぜぇ、はぁ、ひゅうううぅ、ぶふぅう、んぐぅう」

「どおぉしたよ、シロガネぇえ~~、あの時みたいに、ぶつかってぇ、こいよぉ」


ガエン先輩は、野太い、風邪気味みたいな低い声で喋っている。(首にも肉付きすぎでしょ…どんだけ太ったんだ…

1歩。

また1歩。 遠い。 あれだけ巨体の相手が、ひどく遠く感じる。


まさか、”じゅうりょく”を?もしくは特殊なサイコフィールドを張った……?

炎タイプのガエン先輩が、そんな真似できるわけ。

「ぜへぇええ、ひゅうぅ、はひぃ、んぐぅう、はぁ、ふぅ、はぁっ」


身体がさっきより暑い。動悸が激しくなっていく。


シロガネは”体を早く動かそうとした”のが数か月ぶりという事に気付かない。


まさか自分が満足に動けない程の超肥満。


肉塊に匹敵するほどの体重で、足の指先まで腹肉に埋まりそうなぐらい太っており―――



足を持ち上げる事すらできないのだ。


「こないならああ、こっぢから、いくぞぉお」

ずずず、ずずぅう、と巨大な質量が足の裏、ぶっとい尻尾、巨大すぎる腹を擦りながら近づいて来る。


どっぷぅ!!!   っと、両者の超巨大風船腹が密着した途端 腹肉が波打った。


「うぅあ???!!! ---ぐぷ!!!」

突然の衝撃に、急に息苦しさを覚える。

明らかに、食べ過ぎていた腹に、そんな強い衝撃を受ければ当然だ。

速さはないが、質量はとんでもない。 徐行した大型トラックが全体で押し付けてきたようなものだ。



押されている? 自分が? ポケモン相撲界で、誰よりも強い自分が、 最弱と化した、体重が重いだけの激デブなガエン先輩に?


あぁ、そうか、無意識に手を抜いているんだ。 演出。そう、これは逆転劇を魅せるまでの……

うっかりしていた。そうでなければ、負けるはずないじゃないか。


「ぶふっ、ふぅう、んぶふぅう、そっかぁあ、なら、大丈夫だなぁ」


ずっ。ずずっと、巨体が後退していく。

ほら、案の定。暫くするとピタリと止まった。


だが、それはシロガネがどうこうしたわけではなく……

ガエンの自滅。 彼もまた、長い事使っていなかった全身の筋肉を酷使し(そもそも自重だけでしんどくて死にそう)

あっという間にスタミナが切れたのだ。


「ぜひゅぅうううう、ひゅぅうううう、ぶはぁああ、じ、じぬぅうう、ぐるじっ、はぁ、はぁっ、さんそっ、さんそがだりないぃっ」


みっともない顔でぶひぶひと喘ぐ醜い巨デブのご尊顔があった。

あーあー、情けない、大衆の前であんな風に舌を出して。



シロガネの慢心は消えなかった。

一切の反撃が出来ていないのに、何故か余裕の表情を崩さない。

……容姿端麗だった顔は、もうとっくに贅肉で崩れていたが。

「ぜぇ、はぁ、こんどは、こっちの、ばん、ですねっ、はぁ、ふぅっ、はぁ」

言葉を発することすら、たどたどしい。


足腰に力を込め……なんとか、前に体重を傾ける。


自重と腹の重さで、前のめりになり、わずかにガエンを押し返す。


『あーっと、ここでシロガネ選手!反撃に出る模様です! 
激しい重量のぶつかり合いで、会場全体まで衝撃が伝わってくるようだーーー!』



実況席は、言うべき言葉を模索しながら、なんとか無音にならないよう必死だ。

そうでないと汗だくの巨デブ2匹はみっともなくでかっ腹を押し付け合いひぃひぃもがくさまを延々と見続けねばならない。


いつブーイングと大量のゴミが投げられてもおかしくない。



だが、逆に繰り広げられる”異様な光景”に観客は魅入っていた。


興奮や熱い感情とは違う、多くは 冷ややかで見世物を眺めるような目線で―――

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secret

COMMENT

トン級の肉塊ポケたちのお腹合わせおいしいです
手が届かず必死になって巨腹で押し合うシーンがどストライクでしたw

Re: タイトルなし

> トン級の肉塊ポケたちのお腹合わせおいしいです
> 手が届かず必死になって巨腹で押し合うシーンがどストライクでしたw


巨漢同士だと、もう腹相撲にしかならないのでしょうね…!
ありがとうございます

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