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傲慢なるリザードン編 1

―――微妙に世界線が違うかもしれない続き

牙炎(ガエン):ポケモン相撲界で活躍したリザードン。”自分は強い”という慢心により体重が増え続け、満足に試合も出来ない程太ってしまった……その結果―――

銀(シロガネ):王者のガエンを倒し、連勝を続ける新チャンピオンのルギア





===


~夢の後~




この世には、勝ち組と、そうでない者がいる。



言うまでもなく オレは前者の方だ。



整った顔つき、透き通ったウィスパーボイス、大空を自由に飛ぶ翼。


トレードマークともいえる尻尾に輝く炎の色までもが、鮮やかで 価値がある。


その一方で、ずんぐりとしたお腹は愛嬌を感じさせる。


まぁ多少太っていたことは認めるが、十分にモテた。いや、並の奴ら以上に……だ。


アイドルグループに匹敵するカワイコちゃん達が、次々に俺の元に集っては甘い声で囁き続ける。


ガエン様、ガエン様、そういいながら体に触れ、メスの顔になる。


リア充の極みと言っていい。


そんなオレはポケモン相撲大会の、覇者だった。


連戦、連勝。獲得した賞金は、余るほどだった。


屋敷は更に立派なものになり、食事も毎日三つ星シェフが作る豪勢なものになった。


体重が増え、更に有利になり……


盤石の地位にいるはずだった。




だが《ヤツ》がすべてぶち壊した……  銀音(シロガネ)とかいう名前の、ルギアだ。




青紫の巨腹が眼前に迫る。 押しても、ビクともしない 屈強な 力強い




「うがぁああ、あああっ!!!!」


フラッシュバックした記憶に、眠りから醒めガエンは跳び起きる。

跳び起きようとしたが、実際にはわずかに首が曲がっただけで上半身は不動のままだ。




ぶくぶく肥えた身体は、荒い呼吸と同時に腹部が隆起し布団がずり落ちる。


「はひゅーーー……ふひゅーーー……ちっ、ま゛た゛あの時の夢か……」




今でもこうして、記憶がよみがえる。思い出したくもない。 


あの時の試合から、オレの名声は終わりを告げた。



忌々しげに、近頃のポケモン相撲のインタビュー内容を思い出す。


爽やかな対応で、視聴者やファンに媚びを売る大型ルーキーのシロガネ(ルギア)の姿……



最初のうちは、支援金を送ってくれることに感謝の気持ちもあったが

奴がいなければ今でもオレがあの位置にいたはずなんだ。


ポケモン相撲界のチャンピオンに……




寝たきりのまま牙炎(ガエン)は、いつもどおり世話役に食事を運んでもらいながら


だらだらとテレビを見て怠けていた。 だが、やはりポケモン相撲だけは気になってしまう。


チャンネルを変えてもらい(彼はもはや自分でリモコンを操作するのも億劫なのだ)


その日の試合内容を視聴する。


連戦、連勝。またあいつに白星がついた。


解説のエンブオーとサイドンが、こんな話をしている。


「いやぁ、それにしてもシロガネ選手。また勝ちましたね~」

「見事な立ち回りだったと思います。しかし、前場所に比べてまた一段と体重が増えた気もしますね。途中、苦しい場面も見受けられました」


確かに言われてみれば、奴の体格は一回り大きくなったように思える。

ポケモン力士にとっては、体重の重さや体格の良さは武器になる。 


だが、急激な増加は体幹のバランスを崩すし なにより動きは確実に鈍る。



「ぐふっふふ、良いことを思いついたぜ……」


23個目のドーナッツを柑橘系ソーダと共に飲み込み、おくびを漏らすと


ガエンはタッチ式モバイルPCを起動し、検索を始める……






====







ルギア宅の、チャイムが鳴る。


「はいはーい、今でまーす」

ドスン。ボヨン。ドスン、ボヨン。


丸々としたデカっ腹を揺らしながら廊下を歩くのは、銀音(シロガネ)だ。


インターホンで確認すると、何やら荷物を置いたデリバードが待っていた。


通販で何か頼んだ記憶はないけどなぁ。

そんな風に思いながら、玄関のドアを開ける。

「御届け物です。えー、シロガネ様ですね。サインお願いします」


「はい。どうぞ」

「ありがとうございますー。 荷物は中で?」

「ええ、お願いします。って、それ1箱じゃないんですか?」


「3箱届いてますね」


3箱も……? なんだろう。


不信がりつつ、部屋へ入れてもらう。


大きなダンボールと、同封された手紙。


「あぁ、なんだファンからの差し入れかぁ」


中身はどうやらお菓子のようだ。


「……ふむ、何かな」

器用に包装を開けると、中から出てきたのはTVでも何度か紹介されるほど人気な『蜜大福』だった。 


餡の代わりに、たっぷりとミツハニーの蜜が入っており

噛んだ瞬間、もちもちっとした食感の中から大福がトロッと溶けだすように溢れる。



拘りぬいた厳選の蜜を使ってるだけあって、けっこうなお値段なのだが。


「まさか3箱とも全部?」



中身を確認すると、どうやらそのようだった。 これはありがたい、とばかりにシロガネは1箱完全に開封する。


ひょい、ぱく。ひょい、パク。 スナック豆を放り込むぐらいの勢いで、どんどん蜜大福を食べるシロガネ。




うまい。 実に病みつきになる味だ。 

濃厚な蜜は甘いだけでなく、どこか透き通った清涼な爽やかさもあった。


普通の大福なら、途中で口の中が甘ったるくなって飽きるんだろうけど

これは飲み物もいらずにドンドン食える。


「いやぁ、ありがたいな」



ソファに座り直し、テレビを見ながら パクパク パクパク 蜜大福を平らげていく。


無意識に、次の箱を開ける。 次の箱も、空ける。

気付けばダンボール1箱に入ってた、贈答用の6箱を全部食べきってしまっていた。


「うぉっ、いつの間にこんなに……?」


でも、よく考えたらこれって生菓子なわけだから、今日中には食べないといけない。


「残りは夕食後のデザートかな……さて、今度の試合に向けて訓練っと」


蜜大福を巨大な冷蔵庫にしまうと、シロガネは休息を終え自主トレーニングを開始した。



その日は、ファンからの差し入れで気分が高揚していたのか稽古後の夕食もなんだか妙に食欲が湧いていた。


シチューや丼も何度かお代わりしてしまい、 結構その時点で満腹だったのだが 蜜大福は別腹だ。



残りのダンボール2箱分もぺろりと平らげ、腹を大きく膨らませると


満腹の心地よさを覚えながらも深い眠りにつくのだった。







その翌日……




エレザード運送が、再び荷物を持ってきた。


「お届け物っス。サインお願いするッス」

「ご苦労様。ん……見覚えのある大きさのダンボールだな」



まさか、と思い中身を確認すると……昨日と同じ蜜大福だった。


「製造会社の関係者なのだろうか」


何にせよ……非常にうれしい。 

昨日、あれだけ食っておいてなんだが、今日も出かけて買いに行こうかと思う程ハマってしまっていたのだ。



昨日と同様、いやそれ以上のペースで彼はたっぷり蜜の入った”蜜大福”を 思う存分堪能した。



「げふっ」


おくびを漏らしながら、もう1個……と翼を伸ばし、何もつかめないことに暫くして気付いた。


いつの間にか、全ての箱が空になっている。



パツパツにお腹が張っており、かなりの充足感。普段からポケモン力士としてかなりの量を食ってるのに


この差し入れを惜しみなく全部詰め込めば、確かにこうなる。


「はは……、流石に食べ過ぎだな」


とはいえ、ポケモン力士にとってカロリー超過なんて珍しくもない。


激しい稽古と、規則正しい生活、鍛え抜かれた肉体の基礎代謝の高さで、 引き締まったボディが崩れることはない。





翌日も差し入れは届いた。


不信には思わなかった。むしろ感謝の気持ちしかなかった。 あぁ、また”あの味”を何度も楽しめる。


「じゅる……」

ばくばく ぱくぱく もきゅ、ごきゅ、ばく、ばく……


トロトロの蜜が、もっちりとした皮の食感が


「うまいなぁ」


暖かい緑茶を入れて、一緒に呑む。 ほろ苦さと、大福の甘さがマッチして、本当に、何個でも食べれる。


「あむ、んぐ、うまい……はむん」


稽古の開始時間が遅れていた。 けど、もっと食べていたい。 あぁ、でも、もう1箱しか残っていない……


「はぁ、仕方ない、これ食べ終わったら、行くかぁ」


あっという間に残りを飲み込むと、再びおおきなおくびを漏らしつつ よっこらせと立ち上がる。


だぷん! っと丸々とした風船腹が揺れる。 


詰め込み過ぎて重くなっているので、重力の影響が大きいのはわかる。


だが、その揺れ幅は、鍛え抜かれた肉体の持ち主としては本来あり得ない”贅肉”としての動きだ。



自覚は無かった。 自分が太りはじめていると、シロガネはみじんにも思っていなかった。



朝、昼、夕の食事量が わずかながら増え続けている事すら。




===





リザードンのガエンは、満足そうにその日のテレビの土俵入りを眺める。


匿名の『差し入れ』を続けてから1か月……


目に見えてシロガネは太り続けた。膨れ続けた。


「ぷっ、ぐっふうふぅ! なぁんだ、あのみっともない腹!!」


テレビに映し出されていたのは、よたよたとした足取りでなんとか四股を踏むシロガネの姿が映し出されていた。

片足を上げると、そのまま倒れ込みそうだ。

それもそのはず、あんなアンバランスな体型で満足に立っている方がおかしい。


でっぷりと、巨大に育った”大福腹” 

左右、前方に大きく突き出しており、かろうじて全盛期の筋肉質なボディの貯金で丸さを保っている、という感じだ。


試合前だというのに、暑苦しそうに舌を出してゼェゼェと息を乱しているのがわかる。



「オレが注文した特性の蜜大福、うまかったんだろうなぁ、あの様子じゃあ」


自身の体型を忘れているかのように、ガエンはシロガネの現状を嗤う。



食欲増進作用、脂肪の消費阻害、とにかく『太りやすく』という目的で特注品を仕上げた。


金はあったし、これまでに築いたコネでどうとでもなった。



寝たきりのまま、リクライニングチェアを起こし、ボリボリとスナック菓子を食べながら

天井付近についたテレビ画面を見るガエン。(そうでないと、自身の盛り上がった風船腹で何も見えないのだ)




今ではシロガネには毎日ダンボール6箱以上の”蜜大福”を送り付けている。 流石に飽きるだろうから、と”別の生菓子”も添えてだ。



「しっかし、想像以上の、太る速度だなぁアイツ。なぁ、お前らもそう思うだろ?」


「えぇ、だらしないですわ……ちょっと可愛らしいと思いますけど」

「うふふ、ガエン様が”同じ土俵”でリベンジする日も遠くないかもしれませんわ」



囲いの♀ポケモン達が口々に彼を肯定してやる。 都合の良い存在だけが今の屋敷にいるのだから、当然なのだが。







===




それからも、ルギア(シロガネ)は出場し、姿を見せるたびに太っているように見えた。

いや、実際太り続けていた。


実況や解説者も、彼のウエスト周りや増体のペースについて苦言を言ったり、 心配する声も聞こえた。



「いや~、それにしてもシロガネ選手。相変わらず負けは少ないものの、危ない試合は多くなりましたね」


「ええ、それにしても……あのお腹、なんだか前より”また”大きくなってません?」





ガエンの策略は、見事に成功した。


蜜大福にすっかりハマったシロガネは、

自分がどれだけ余分なカロリーを取り込んでいるか理解することも無く、日々肥え続けた。


多少動きづらいという自覚はあるものの、”肥満”ではないと思っていた。


「ふぅ、はぁ、ふぅ……」


ちょっとコンビニへ出かけるだけで息が切れる。


贅肉の余った腹と太もも。肉同士が擦れ合い、だが その刺激は彼に太ったという危機感を与えない。


足元もろくに見えず、歩きづらいはずだ。


体も大きいうえに、有名な存在である彼は周囲の目線を引く。


「あれってシロガネ選手じゃない?」
「間近で見るとすげーデカいんだな、ポケモン力士って」
「にしたって、あのお腹……」


ヒソヒソと話す会話内容は、シロガネに届かない。

彼の目当ては肉まんとピザまんのセール。

自動ドアが限界まで開ききってから、店内へ入る。

「ふぁあ、いい匂いだなぁ~」


揚げ物もついでに頼もうか?

買い物カゴを器用に手翼に引っ掛けると、おにぎりを10個、総菜パンを6個、カルビ弁当、手巻き寿司セット、カップ麺、処分コーナーのお菓子などを次々と入れていく。


買い溜めではない。彼はたった1度の食事でこれだけの量を食べる。

食べないと、もう気が済まないようになっていた。

「ふぅっ、っふぅーー。会計、お願いします」

「あ、ありがとうございます」

前より、また買う量が増えている……

バイトをするトレーナーの子は、日々会計の合計金額が増える相手にひきつった営業スマイルを見せる。






「じゅるっ……んまそうだなぁ。
冷める前にフライドポテトやフランクは食べないと勿体ないしね」


なんて、誰に聞かれたわけでもなく、自分に言い聞かせる。

そしてあろうことか自宅までの距離を歩くのも面倒になったのか、タクシーを呼ぶ始末。


(超大型ポケモンにも対応した、割高のタクシーだ)




シロガネの体重増加は、留まるところを知らなかった。


歩くたびに贅肉が揺れ、重く垂れた尻尾はひきずって汚れるが


自分で拭くことも無いので、帰宅時にヘルパーに洗ってもらっている。








====





休日。

シロガネは自主トレーニングをすることも無く、ぼーっとテレビを眺めていた。


気が付けば、蜜大福を口に入れている。


「むぐ、もぐ、んぐっ……」


どれだけ食べても飽きがこない。


蜜は本来甘ったるいはずなのに、この高級ミツハニーを使用している蜜大福は

まるで水をゴクゴクと飲むように馴染む。


蜜を包む生地の部分も、口に含めば泡のようにとろけて消える。


「あれぇ、もう空になってる……」


空き箱を投げ捨て、新たな段ボールを開封する。

リビングにも、廊下の収納スペースにも 溢れる程、山積みの菓子が用意されていた。


その異様なまでの量を、彼は何の疑問も無く受け入れる。 買いに行く手間が省けてラッキーだとすら思っている。


口直しに、マトマの身を粉末にしたチリ風味ポテトチップスもバリボリと貪っていく。


「げふっ、もう一袋……」


伝説ポケモン達が活躍する映画を順繰りに見ていく。 自分の同族が出て、種族本来の体型を目の当たりにしても気にならなかった。


自分はポケモン力士として活躍する身。多少ふくよかでも問題ない。体重があった方が有利だし。

この大きなお腹だって、組み合いの時に役に立つ。


だから大丈夫……


もう少し太っても大丈夫。もっと食べても、だいじょうぶ


「あむ、ムシャムシャ……ぐぇっぷ」


1ガロンのミックスオレ。10箱の蜜大福。12袋のポテトチップス。

もう1本の業務用サイコソーダも開封し、飲み干す。

ぶくぶく肥えた体が、

時間の経過と共にみるみる、パンパンに膨れていく。


「ふぅうっ、ふぅっ、面白いなぁこのエレブ―とブーバーの漫才」


次の試合の事もすっかり忘れ、没頭する。


頭を使わず、楽な姿勢のまま、欲求を満たす行為だけを繰り返す。


この日だけが特別なわけじゃなかった。

ほとんどが休日のようなもので、何も得ることなく脂肪を蓄積し、贅肉が増え、


体重だけが増加していく。


「ふわ…ぁ~~~あ……満腹になったら、眠くなってきたかな……」


ベッドまで行くのも面倒だ。このままソファで寝てしまおうか。

その日も過食に次ぐ過食で、ずしりと重たくなったお腹。

両脚の太腿を左右においやるほど成長したソレを撫でながら、明らかに太り過ぎたはずの自分に一切の疑問を持たず


シロガネは自堕落な日々を過ごしていった……。





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