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慢心リザとカイリュー 前編

でぶしかいない。
金だ。金が足りない。

食い物も、女も、もっと欲しい…全部、何もかもが足りないだ。




牙炎(ガエン)という名のリザードンはイライラしながらコーンポタージュのスナックを貪っていた。

「がふっ、あぐぅっ、ムシャムシャムシャ!」

ざらざらと一気に口に流し込むとろくに噛まずに飲みほし、空になった袋を投げ捨てる。

すぐさま新たな業務用サイズの袋菓子に手を伸ばし、口を開く。

そのリザードンは酷く肥え太っていた。

体重はなんと615kg。平均体重が90kg前後の種族としては驚異の数値だ。


更に驚くべきことに、これでも彼は以前より【痩せて】いる。一時期などは相当なもので、900kgすらオーバーしていたのだ。

そんな彼の体重がここ数か月で激減したのは、単純に資金不足による豪遊が出来なくなったため。



相撲大会のチャンプだった彼は、銀(シロガネ)という名のルギアに敗北した。
それ以来試合には一度も出ておらず、その時にシロガネから【憐れみと侮蔑】の感情と共に貰った賞金と副賞の食料品1年分を使い果たしてしまったのだ。


一切働かず、メスポケモン達に半ば介護されるような形で日々を過ごしていた。

かつてのファンではなく、『彼の体』を目当てに集まった者達だ。彼女たちは健康を気遣うことなく甘い言葉と共にスイーツをご馳走してくる。



だがやはり物足りない。
その程度では体型を維持できても太ることは出来ない。

自分が負けた原因は、太り不足に違いない。なぜならあの当時、ルギアは俺よりもデカかった。だから俺よりも太っていたはずなんだ。
あのデブ野郎め…体型の有利だけで勝ち逃げしやがったに違いない。


ガエンの記憶は都合のように改善されている。リザードンよりルギアの方が背が高いのは明白。
だが、彼は実力で負けたと思いたくないゆえにそんな妄想に憑りつかれている。

「もっど、もっど太らねぇど…ムシャムシャ」


手っとり早く肥るにはどうするべきか。

「グビグビ、ゴクゴク、ネットでも利用するがぁ…ヒック」

オレンジジュースを片手に、腹の上に載せたまま食べかすが零れたままのタブレットPCを起動する。


「太らせてくれる奴募集…っと、まぁこんなもんでいいだろ」

パシャリと自分の上半身を撮り、募集掲示板に貼る。
まぁ俺様の知名度をもってすれば協力者なんて抽選が必要なほど来るだろう。

「ぐふふ、あぁ楽しみだ…っとと、そうだ手土産は必須にしよう、他にも毎週俺様の家に来れる奴限定だ」



どこからその自信は生まれるのだろう。
だが、世間には特殊な趣味を持ったポケモンは多く協力者は複数訪れた。

性別、年齢問わずリザードンの事を太らせに来てくれたのだ。


地方の特産品をたっぷり手土産に持ってきたシードラやライチュウ、ヒトデマン達。

「うわっ、すごっ…リザードンでこの体って…」「ハァハァやばいっす、凄いっす」「デュワワ!!(恍惚)」

「ふぅふぅ、ふふん、どうだ?立派なものだろう」

自慢げに体の肉を揺らすガエン。太い手で腹を叩くとボヨンっ……と大きく全体が揺れ動き、いかに余分なものが全身にまとわりついてるかわかる。

その仕草と、目の前にいる巨大なリザードンの太りっぷりに彼ら、彼女らは気分が高揚し、そしてもっと太らせたいと思った。

「ふふ、予想以上……素晴らしいですわガエン様…
あ、もしもしデリバードデリバリーですか?
ピザの注文を頼みたいんですけど……えぇ、全メニュー。全部Lサイズで。ええ、着払いで」

お嬢様然としたクチートがさらっととんでもない注文を頼む。
周囲は驚いたが、ガエンはさも当然と言う態度で感謝を述べた。

「さぁ、お前たち何をぼぉっとしている、早く俺様に食わせるんだ」

シードラ「それじゃあ、まずは水分補給から……」
アーボック「え~やっぱりご飯からじゃない?」
ブーバー「いやいやラーメンで体を火照らせてからだな」
ゴローニャ「男は黙ってカレーだ!カレーは飲み物!そうだろう!」
ブースター「何言ってるのよ、最初は甘いものを少し口に入れて小腹をすかせてからガンガンいくのよっ」

最初は少し遠慮がちだった彼らはグイグイとガエンの体に近づいて手持ちの料理や食料品を食わせようとしてくる。

「まぁまぁ待て待て、全部食うんだ、順番に持ってこい」

さっきから良い匂いが部屋に充満して、とても我慢できない。口元からは涎がだらしなく垂れ、腹からはグゥグゥと虫のさざめきみたいに音が鳴り響く。




3時間後…


「うっ、ぐぅっ、ええええっぷ!!!ハァ―――ハァ――――ハァ――――…ぐふぅ、ごぢぞうざば…」

腹をこれでもかと膨らませ、じんわりと汗をかくほどに食べきったガエンは息をするのもやっと、という具合だった。




「あ、あれほどあった食べ物が……」「全部食っちゃったッス…」
「凄いわ、惚れ直しちゃいそう。ふふ」


ガエンはこの短時間で三十万キロカロリー以上を平らげきった。
なにせ、ピザの全メニューを食べきっただけで軽く15万キロカロリーは蓄えてしまったのだ。

冬眠前のリングマだって何日も、何週間もかけて蓄える量。
おかげで腹は膨れに膨れ、丸々とした巨大な物体になっており、腕や脚はその胴体におしやられギチギチになるまで開ききっていた。

圧巻のボリュームであると同時に、たったひとりで食べきったリザードンに心底陶酔した。
彼ならば、もっと太れる。太ってくれる。太らせてもいいんだ、と。

そう皆に思わせるのに十分な暴食っぷりであった。





===






???「ふーんガエンさん、まだ試合に出るつもりなんだ…正直笑っちゃうよね」



ガエンが再びポケモン相撲界に戻ろうとしている、という噂は一部には広まっていた。

それを聞き、小馬鹿にした口調で言うのはカイリューの流(ナガレ)

昔、ミニリュウだった頃ガエンとはよく勝負して競い合った。
かけっこや、体力測定テスト、対戦ゲーム。バレンタインのチョコやラブレターの数…
そのほとんど、僕は負けていた。だけど今はどうだろう。
ハクリューの時には参加が無理だったこのポケモン相撲界で、僕は王者まであと一歩のところまで来ている。

チャンピオンであるシロガネ(ルギア)にはほぼ負け越ししているが、他の連中はもう雑魚だ。
それに、あいつは試合に出れてすらいないじゃないか。

「ふふ、戻って来るのが楽しみだよ……ガエン」

メラメラと闘志を燃やすカイリューの流(ナガレ)
だが、ガエンの現状を知っているおかげで負ける気は微塵も無かった。

それに現チャンピオンのルギアだって、大したことは無い。背が高いから有利なだけでテクニックが凄いわけじゃなければ、重さだってそこそこだ。
なんならカビゴンの方が厄介なぐらいだろう。

「今度の全国大会は…僕が優勝だ」

そして新チャンピオンの誕生。拍手喝さいを浴び、インタビューとフラッシュの嵐を受けるのは、そう…僕なんだ。




リザードンのガエン、そしてカイリューのナガレ。

それぞれの思いを胸に、大会の日は着実に近づいていく……







~続く~
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