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『ドラゴン にぃと』

肉の日からのニートの日コンボ
ドラ得。という言葉がある。


ドラゴンに生まれただけで得している。だからドラ得。


黒竜種のレイズにとって、世界は自分を中心に動くべきだと思っていたし、事実そうだった。



何もしなくとも、周囲が勝手に自分を祀ってくれる。奢ってくれる。

ネットスーパーが普及した今や、ウィッシュリストに欲しいものを登録しておくだけで


勝手に配達される。


出歩く手間もなければ、働く必要すらなかった。

ドラゴンさまさまだ。

絶対数が少ない故、競い合ってアピールする必要が無い。




そう……彼は完全な引きこもりニートドラゴンだった。


日がな一日、食べて、だらけて、ゲームして、ネットサーフィンをして、寝たいときに寝て、起きたいときに起きて……


部屋の掃除もやってくる自分の”ファン”に任せきりだ。


「こんな楽な生き方はないよな~~」

寝そべりながら、ボリボリとスナック菓子をつまむ。

すぐ横には大ボトルの炭酸飲料が常備。 すでに周囲には何本か空ボトルが散らばっている。

だが部屋自体は、毎日清掃されてキレイだ。


そんな生活をするだけあり、彼はなかなかに……いや、相当な肥満竜だった。


数十年前は、一般的なドラゴンのように、多少でっぷりした胴体を除けば手足も尻尾もスラリと細長かった。


今や、どこも丸太より太く 相対的に短く見える。短足。短尾。短首(?)だ。


昔は格好いい! と褒められ好かれ、 今では丸っこくて可愛い! とまた別のファン層に支持されている。



「ふわぁ~あ……むぐ、もぐ……
今度は何を買ってもらうかなぁ。お、このおススメ商品よさそう。ドラゴンをダメにするソファ。」

サイズは……うん、自分ぐらいでも大丈夫な大きなものもある。これを欲しいものとして登録しておけば、1週間もせず部屋に置かれることになる。


「新作のゲームでもするかぁ」


ドラゴン用のヘッドマウントディスプレイを被り、バーチャル空間の景色が視界に映る。


雑多な外の世界とは違う、煌びやかな場所。

歩かずとも、飛ばずとも、様々な景色が見れる。

どっぷりと長時間オンラインゲームに没頭し、腹が減れば近くに置いてある菓子や出前のピザを食らう……



これほどに堕落した竜は、世間でもそうはいない。



ぶくぶくと、月をまたぐたびにレイズは肥え続けた。


「ふぅーーー・・・んふぅうーーー……」

最近、どうも疲れやすい。ゲームのし過ぎだろうか。


「やめやめ、今日は寝とくか」

どっかりとソファに体を沈ませ、ファンからの大量のチョコレートを食べる。

バレンタインが近いからだろう。頼んでもないのに、高級なブランドチョコが箱積みされている。

甘いものばかりで口が飽きてきたら、しょっぱい海鮮系の脂菓子に手を伸ばす……


空腹を覚える間もなく、惰性で詰め込む腹はパンパンに膨れていた。




この部屋に体重計はない。

彼が、かつて、外出していたときに比べ……何倍に肥えきっていたのか、彼は知る由もなく。


来訪する介護員たちのネットワークでは、情報交換がされていた。


レイズ様が”またお太りになられた”こと。

介護しながらウエストや、体重の推定値を出し、それがまた一部のファンたちの熱をあげていく。


最低でも5倍以上には太っている。


70kg平均の獣人で考えれば、350kgを超える超肥満。


それでも”ドラゴン”たるレイズに生活習慣病の心配は無い。

ゆえに、本人は自覚せず、堕落した日々を続けた




わずか数年後。


「んっぷぅう、ふぅ、誰かいないかぁあ。マッサージを頼みたいんだがぁあ」

間延びした野太い声で、隣接する部屋で常駐する従者(ファン)を呼ぶ。


たらふく食べて苦しい巨腹を撫でてもらう。

自力では、もうろくに前脚が届かないのだ。


すでにレイズはかつての体重の6倍ほどに差し掛かろうとしていた



”働”かないし、種族も思考もとっくに人でなしの彼は”動”かない。




もっとも


動けない、というのが 正しいのかもしれなかった



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