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~危険なハラワタ~

(ホラー要素は)ないです


フロゼ巻き添え


====



「あの頃に戻りたいなぁ」


青空を見上げながらデンリュウがふと、そんな事をつぶやく。

というのも、最近寒い。めっきり寒いのだ。

進化する前は、もっこもこの毛でおおわれていたが

今のつるつるボディには、この寒さは少々……いや、かなり応える。







「そんな事言ったって、僕らは進化できても 退化はできないからね。
メガシンカすればちょっと生えるじゃん。毛。」

友達のフローゼルは冷めたことを言う

「むー……一瞬だし、アレ別に暖かくはないんだよね…」

それに体力の消耗が激しい。今の自分が嫌いってわけじゃないけど、たまに恋しくなる。

「はーぁ……また、あのふわふわ時代に戻りたいよ」



「その願い、 叶えてヤローカ?」


「フローゼル、今なんか言った?」

「いや俺は別に……」

「コッチダヨ、コッチ」

と、影から突然現れたのはぬいぐるみポケモンのジュペッタ。


「ふわっふわの、もこもこになりりてーんだな?」

「いや、まぁ、できるものなら」


それを承認と捉えたジュペッタは、すぐさまその”ちから”を発揮した。


ポケモン同士のバトルでは使わない、禁忌。呪い。

ぬいぐるみに宿った怨霊だからこそ出来る異能。それは



「ほらヨ」

両手を上げた途端、ボンっとデンリュウとフローゼルの姿が変わり果てた。


”みがわり”のぬいぐるみを出すのとは、違う。

本人そのものが、”ぬいぐるみ”と化した。

突然の出来事に、デンリュウたちは戸惑い……


否、その意識はない。

彼らは今、ぬいぐるみなのだ。 疑問を持つ心もない。

ぬいぐるみは感情を知らない。


毛糸と布で構成された肉体。

針で縫われた複合部。大きな目はボタンが取り繕われ、まさに人形そのもの。


「たのしい、タノシー、お裁縫☆ オサイホウで~仕上げましょ~」



ずばん! と、躊躇なくジュペッタは彼らの胴体を”切り裂いた”


痛みはない。痛覚は無いのだから。そもそも、彼らは自身が斬られたことすら知覚できない。


「ハラワタ、腸(はらわた)、腹綿へ♪」


ふんふふん、歌うように、クルクルと踊りながらジュペッタは手に取った綿を入れていく。

ぬいぐるみの中身。形を構成するもの。

それを、つめつめ。ぐいぐい、つめつめ。


無理やり布生地が再び裂けてしまいそうなほど、押し込んでいく。

ギチギチと、押し込まれる綿は次第に圧縮され固いほどに。

「ツメツメしまして、はい、オシマイ♪」



パチンっと指を鳴らすと、再び”ぬいぐるみ”だった彼らが元の姿に戻る。


全てを変換して。


「っ------???!!!」

意識が戻るが、彼らにとっては瞬きするほどの刹那の時間の出来事。



そのわずかな瞬間に彼らは”膨れ上がっていた”


腹に詰め込まれた綿は、ぬいぐるみにとって肉体を構成する物質。

一部は臓器に、一部は骨になるだろう。

では、本来の体になかったものは?

……脂肪として、蓄積するしかない。



「な、何が、起き……・!?」

彼らにしてみれば、膨張……を超えた速度の、変換

ジュペッタが手を挙げたと思ったら、異様に膨れ上がったお腹で自分の視界がほぼ埋まるという不可思議。

数秒遅れて、無茶苦茶に太ったと理解できたが、思考はやっぱり追いつかない。



フローゼルに至っては、ぬいぐるみ化の反動かまだ朦朧としている。


「ふかふか、ふわふわ、楽しかったカ? 
そんだけ溜めこめば、寒くもネーダロ」


ニシシシ、と意地悪そうに笑ってジュペッタは影へ消えていく。まさに、やり逃げ。


「ちょっ、待って、戻して……っていうか、何したのさ…!!」


デンリュウは、すっかり胴体に対して短くなった手足をジタバタともがくが、


カビゴンを超える巨体になった今や、追う事はおろか まともに立っている事すらできなかった。


「……どうするのさ、これ……」


だが、不思議と怒りが湧いてこない。


”ぬいぐるみ”としての時間が、

その一瞬ばかりの一生が、

体が

覚えている


ご馳走(綿)を食べ放題

という、ある意味ぬいぐるみにとっての至福を過ごしていたからだ


惜しいのは、その事をまっっったく覚えてないし、思い出すことも出来ない事だ。


むにむにと、自分のお腹を押して、それが決して作り物や、一時的に膨れてるものでないと理解したデンリュウは


再び呟いた

ああ、 あの頃に戻りたい、と。


ほんの十数分前に戻りたくなるデンリュウであった



おわり
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