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『ドラゴンワールド』

世界の半分で良かったはずなのに、全てを手に入れてしまった竜王


それは言い換えればモンスターと人間との共生に他ならなかった



憎しみの心が消えた世界は、魔物たちも穏やかな性格になり


世界に真の平和が訪れた……



までは、よかったのだが
===



「ふぅむ……」


視線を下ろしじっと見つめるのは、自身の膨れた蛇腹……忌々しさで言えば”邪腹””とでも言うべきか。


竜王は、太っていた。


世界を支配するのに躍起になっていた時代に比べ、3割……いや、それ以上に増えただろうか。


あちこちの関節は曲げるたびに、ぶにゅりと贅肉が触れ合う感覚。



元から恰幅の良い”竜”の形態で、誤魔化しているが

今では人型に変身することは出来なくなっていた。

ちなみに以前、試しに変身してみたら ローブがはち切れそうになり無残な姿になったので慌てて戻った


その時から更に体重は増えていた為、もう今の”ドラゴン”の覚醒状態を維持し続けなければいけない。


だが、そうすると一つ問題がある。


提供される食事量が、多いのだ。



しかも内容は肉料理がメインの偏った物……


脂質の多い食事は、当然ながらますます脂肪を蓄え贅肉が増える結果につながっていく。


悪循環だ……


「だが、どうしたものか」



戦う相手もいない。

かといって竜王である我が、モンスターレースで走り回る姿など見せられるはずもない。


運動が駄目、摂取カロリーも抑えるのが難しい。(極上しもふりにくフルコースなどといった好物の我慢など、論外だ)



となると必然的に……


「やはり、あの手段しかないか」



ある意味、禁じ手とも言える手段。


それは……



===



「お呼びでしょうか竜王様」


集まって貰ったのは、世界中の”大型ドラゴン”達。


ギガントドラゴン、リザードファッツ、デンデン竜に 超大型竜の代表格・ドラゴンヘビー

その他色違い。


誰もが膨れた腹、太い胴体を持った……


悪く言えばデブ竜の集団だ。



人間たちの言う『木を隠すなら森』

この言葉からヒントを得た。


私の肥満を隠すなら、それ以上のデブ竜を周囲に集めればよいのだ。


「お前たちは、誇り高き竜族であると同時に優秀な我が眷属だ。
是非とも、私の側近として任命したい」


世界を征服したとはいえ、いつまた反逆が起きるかわからない。

などとそれらしい理由をつけて、城へ招き入れた。


「そばに置いていただけるとは、ありがたき幸せ」

「竜王様の事は命を賭してお守します!」


「ふ……期待しているぞ」


……それにしても、改めて見るとまぁ彼らの太っている事、太っている事。


ギガンドドラゴンも、リザードファッツも、下っ腹が地面スレスレだし…

無限に飲み物が湧き出るというツボを持ったデンデン竜は、たらふく飲んでいるのだろう

じゃぼじゃぼとした水っ腹を揺らし、立っているだけでフラフラしている。


ドラゴンヘビーは、……まぁ名は体を表すというしな。



彼らを城に招き入れた竜王は、それだけでは安心しなかった。


より太ってもらう為、毎日毎晩”宴”を開かせた。


ヘビー「いやぁ、流石竜王様が住んでる城!ご馳走三昧で最高だわ」

ギガドラ「仕事の本分を忘れるなよ?
……とはいえ、これほど上質な肉を提供してくださるとは」

ファッツ「がつがつ、ばくっ、むしゃ!!」




その宴は、長い事続いた。


要求さえすれば、食材も資金もいくらでも集まった。


世界全土を掌握したのだから、これぐらいの事は容易かった。


各地の村や国から、少しずつ移送してくるおかげで どこの国もほどよく経済が回り

むしろ世界経済は安定すらしていった。


当然、食っちゃ寝ばかりの巨竜達は 目に見えて太っていった。


動く姿は鈍重になり、”うごくせきぞう”より動かない日も多い。


まおうのつかい、や さまようよろい、達に世話を受け

自堕落な日々を繰り返し

ぶくぶく、ぶくぶく、ブクブクと……


ひたすら肥え続けた。


ヘビー「んふぅ、むしゃむっしゃ、新作のフルコースも、うめぇなぁ。
異国の味付けも、エスニックっつーのか? 刺激的な感じで、ピリッと舌に来るのが病みつきになるわ」


「楽しんでいるようだな」

ヘビー「あっ、竜王様ぁ、わざわざご苦労様です
いやぁ、毎日こんだけ御馳走貰って、へへ、げぇっぷ! おっと、すいません……」

「ふ、構わぬ。宴の場では無礼講だからな」


むしろ、過食は太る要因でしかない。もっとたらふく食うがいい。

ヘビー「にしても、本当、竜王様ってば見た目通り”太っ腹”ですよね~
俺らまともに仕事もしてないのに、至れり尽くせりで」

「(ピクッ)
……ほう、太っ腹」

「竜王さまさまで……って、竜王様?」

「ドラゴンヘビーよ……あとで客室へ来てもらおうか?」

「は、はい……?」


意図せず、禁句に触れてしまったドラゴンヘビー。

太っ腹が度量の大きさを示す意味という事は知っていたが

その言葉は、現状、正しく二つの意味で竜王に当てはまってしまう。


そんな自身の体型を”茶化せない”程度になってもらわなければ。




ドラゴンヘビーはその後 専用部屋で

竜王にしてみれば《折檻》として、ドラゴンヘビーにとっては《極楽》の時間を過ごす羽目になった。




具体的に言えば


日頃の宴を凌駕する量の料理が振舞われる。

モンスター界の美人たちによる”ぱふぱふ”サービス&入念なマッサージ

起き上がって何かをする暇も与えない程

寝たきりのまま、半ば強制的ともいえる量の御馳走責めを繰り返し、 繰り返し


お腹がはち切れてしまうんじゃないか、と思えるほど 消化が追いつく間もなく次から次へと

至高の肉料理を提供し続けた


===



ヘビー「ぐぇえふ、えぶっ、げええええええええええっぷ!!!!
りゅ、りゅうお゛う゛ざま、くひゅぅ、ふひゅうぅ、も、もう食えぞうに、ねぇでず……」


ひっくり返ったまま、天高く膨らませたお腹を抑え込みたいが、短く太い腕では満足に覆うことも出来ない。

意地悪そうに微笑みながらも、竜王は告げる

「ほぉう、そうか?
では竜王たる我が提供する料理を、”拒否”する……と。
我が心意気を”拒絶”する。そう捉えてもらってよいのだな?」


「はふっ、ぐふっ、ぅぁっ、ち、違゛い゛ます゛
ま、まだまだ食え、ます……ぐっぷ!!」

そうだ、お前ならもっと食えるはず。

まだまだ肥えられるはずだ。



数週間後。

ようやく解放されたドラゴンヘビーは、完全に自力で動けない肉ダルマと化していた。


息苦しそうだが、どこか、悦んでいるような……



その噂はデブ竜達の間に広まった。


ドラゴンヘビーが、竜王様の寵愛を直々に受けて、

半ば強引に腹の中をパンパンにさせられる……と。



忠誠度の高い竜達は、どんな内容であれ竜王に目をかけてもらえる、という事実に食いついた。


より太り、大きくなれば竜としての力強さを、繁栄した証明として、褒められるのでは?


理由こそ憶測だが、肥満が進行すればするほど、腹が、二の腕が、太ももが、厚みを増し、体重が増える程気に入られているらしいのは明らかだった。



競い合うように、太りあうドラゴン達。


元々は、ぽっちゃり程度だったグリーンドラゴンやグレイトドラゴンも混ざって太っていった。


「ぶふぅっ、ふぅ、りゅ、竜゛王゛ざまっ!ど、どうですかっ」
「おい、俺の方がデケェんだから、どいてろっ」

「ど、どうと言われても……」


こいつら、急に随分と太ったな。

だが、狙いとしては正しい。

勝手にぶくぶく太って醜い姿をさらけ出して…・…


こちらのぽっちゃりを隠すのに役立ってもらおう。








竜王は、自身の事を”ぽっちゃり”だと思い込んでいるが

すでに違う。


竜達の肥満化が進行したことで、竜王自身が完全に感覚が麻痺してしまった。


また城に集まる食材の量と質があがるほど、彼自身の食欲は体型と共に比例して大きくなり続け



風船のように膨れた腹は、もう蛇腹の境目がわからないほどパンパンになっていた。


頬っぺたも顎にも十分に肉がつき、

本来はぐねぐねと折り曲げられるはずの尻尾は、太くなりすぎて逆にピンと反り返っている。



無意識に前屈みになる動作を極力やめるようになり、

食事の際もホイミスライムや、浮遊系モンスターに皿ごと運んでもらい

恥ずかしながら食べさせてもらうようになっている。


「くふぅう、ふぅう、それにしても、今年の気温はどうなっているのだ?
どんどん暑くなっているではないか。
おい、風」


それが自身が着込み過ぎた贅肉による暑さともしらず、部下に”つめたいいき”を吐いてもらう。


「……(さて、久々にあのデブ共の様子でも見に行くとするか)」


巨大な玉座風のリクライニングチェアに寄りかかったまま、

屈強なゴーレムたちに椅子ごと台車へ移し

自分は歩くことなく、パーティ会場へ向かわせる。


重度肥満竜の姿そのものだ。


「あ~、りゅうおうさまぁ~~」

「今日も一緒にご飯どうですかぁ~~」

すっかり間延びし、声がくぐもり

床に座り込んだまま立ち上がる気配のないリザードファッツやギガントドラゴン達。




見回る振りをして、彼らの豊満すぎる胴体に”ハグ”をし確かめる。


ふむ、また一段とデブったようだな。


「ふぅーー、ふぅーーー、何か、リクエストがあれば、すぐに使いに要求させよう」

「ん~~そうですね~~、あ、そうだぁ、
最近人間たちの村で人気があるっていうフルーツ饅頭が食べたいです~」

「わ、私はあんみつ入りのかき氷とか」


誰も彼も、膨れ上がった食欲に見合った膨れ上がった風船腹をだぷんと揺らしながら、

更に食べ物を要求する。素晴らしい、堕ちっぷりだ。

もう、放っておいても体重が落ちることは無さそうだ。



これなら、自分もまた少しぐらい体重が増えてもバレないだろう。


「ふぅーーー……あいつらの食べっぷりを見てたら、少しばかり食欲が出てきたな。
おい、お前たち、私の部屋へ」

「ハ、ワカリマシタ」


また、移動が大変になるな……

と担ぎ役のゴーレムたちは憂鬱になりながら


その予想は裏切られる事なく




否、予想以上に肥えて膨らむのだった





おわり






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